天寿を迎える体
宅老所よりあいの所長、村瀬さん。沢山の人を看取ったからこそ分かること。
天寿を迎える体は弱々しくありません。体内に残される限られた水分が隅々に行き渡るように、細胞や臓器は協力しあう。すべての老廃物を滞らせながら、腸は水分を再吸収する。
ゆっくり、まったりと活動しつつ、心臓と肺は忙しくなる。粘度の高い血液を循環させるため、心臓は圧をあげ鼓動を早める。息苦しそうな細胞たちと臓器に応えて、肺は一生懸命に拡張し収縮する。
高回転の熱気と滞りの冷気に包まれた体にある連携と連動は、からだ史上絶好調を迎える。死にいく体から伝わってくるものは『カサカサ、ジリジリ、トクトク、スースー』とどっさり。それは、強かったり弱かったり。体はとても穏やかに躍動している。
死を迎える体を、こう表現するまで沢山の人を看取ってきたんだなぁ…村瀬さん。