角田光代さん
角田光代さんの初のエッセイが22、3才のときに書かれた…
『愛してるなんていうわけないだろう』💓
いやぁ~、読んで心が洗われた(^∇^)
そんな一節をご紹介。
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最初は言葉が欲しかった。
「好きだ」とか「あんたが1番」とか、とにかくそういうハッキリしたもの。
二人で過ごすようになってから後に
私はあんなに欲しがっていた言葉を言ってもらった。
でも、こんなものかと思った。
なぜなら私はその言葉を、全身で信じて受け取ることができなかったから。
言葉なんて、もらったってもらわなくたって
関係ない。
信じられるものは、もっと他にあるはずだ。
掌の暖かさだとか、視線の柔らかさを信じようとした。言葉などより、そういうものがより大事だし、またそういうものをもらいたいと思った。
だけどある日、それらの欠陥に気づいた。
それはら全て判断基準が主観的であいまいである。
誰の掌だって、冷え症で無い限り暖かい。
笑いかけられれば笑顔になる。
言葉も信じられない、言葉でないものも信じられない。
では、一体なんだったら私は信じられるのだろうか?
答えは自分だった。
自分なら信じることができる。
私は今だに、この人が好きだ。
それは信じられる、では好きでいよう。
私は今この人の隣で心地良いと感じている。
だったら、相手もそう感じているはずだ。
私が心地良いと感じている限り、この人の隣にいましょう。
人間の心の作用はとても不思議で、二人でいるときどちらかが不機嫌だと、不機嫌菌が相手の心にも飛ぶ。
私が心の底から楽しかったら、相手は不機嫌菌も飛ばさない。
私はようやく楽しいと感じ、幸せな時に幸せを感じることがちゃんと出来るようになった。