作家 川上弘美
不思議な小説を読みました。
ひとつの町を舞台に、それぞれの人が微妙に重なりつつ物語は展開していきます。
『夕つかたの水』という章では、少女のこんな台詞が心に残りました。
成長していく過程での微妙な心の動きです。
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大きくなると、自然に、色んな事がわかってしまう。
めんどくさいなあ、と、時々あたしは思う。
でもしょうがない。
時間はたつ。あたしは成長する。
あたしの目には、それまでうつらなかったものが、うつるようになる。
そしてまた反対に、うつっていたものが、うつらなくなる。